縁あって、角寒天・棒寒天・糸寒天の専門メ-カ-松木寒天産業の製品を扱うことになりました。製菓材料としての寒天のみならず、欧米人に比べて腸が長い日本人にとっては食物繊維のかたまりである寒天には健康効果についても感心が高いようです。下記に横浜市立大医学部 杤久保修(とちくぼおさむ)教授のお話しを掲載します。(http://www.kanten.co.jp/)

寒天を常食すると、肥満や糖尿病などにどんな効果があるのか、以下の方法で調べました。肥満を伴う軽度の糖尿病の患者さん76名を二群に分け、どちらにも同様に栄養士による食事指導を行ったうえで、一方の群だけは、夕食前に寒天を食べてもらいました。
食べてもらったのは、角切りにした寒天ゼリー(寒天を水で煮溶かし、固めたもの)に、甘さを控えめにしたきな粉や黒みつなどで味つけしたものや、トコロテンなどです(トコロテンは、厳密にいうと寒天の原料になるものですが、ここでは寒天製品として扱います)。1回の量は175グラムで、ごはん茶碗一杯より少し多いくらいです。食物繊維量は、メニューによって違いますが、2.5~4.5グラムでした。

こうして3カ月間の追跡調査を行い、前後の体重や体脂肪率、血糖値などの検査値を比較しました。すると、体重、体脂肪、肥満の指標であるBMIなどは、寒天を摂収した群のほうが明らかに減少していました (BMIは体重 (キログラム)を身長 (メートル )の二乗で割った数値で、22が適正、25以上が肥満)。空腹時血糖値や、過去2カ月程度の血糖値の指標となるヘモグロビン、血中コレステロール値なども、やはり寒天摂取群で明らかな低下がみられたのです。体重や体脂肪、BMIが減少したのは、ほぼノンカロリーの寒天をとることで、夕食の量が減って無理なくカロリーダウンできたからでしょう。

一方、血糖値やコレステロール値の改善は、肥満の改善によるほか、寒天の食物繊維が直接的にも働きかけた結果と考えられます。コレステロールは肝臓でこわされ、消化液の一種である胆汁酸の材料となって小腸に流れこみます。通常、これが再吸収されてまたコレステロールの材料になります。しかし、腸内に食物繊維が多いと、胆汁酸が繊維に吸着され、排泄が促されます。すると、体内にコレステロールの材料が減り、コレステロール値が下がるのです。
また、腸内に食物繊維が多いと、糖質が吸収されるスピードも遅くなります。その結果、血糖値やヘモグロビンも下がるわけです。

寒天の常食は、肥満対策ばかりか、血糖値やコレステロール値などの改善にも効果的なことがわかりました。この研究結果をまとめた論文は、イギリスの医学専門誌に掲載され、外国の研究者の関心も呼びました。寒天は、現代の食生活の問題点をカバーする低エネルギー・高繊維食品です。日本人に不足がちなカルシウムも豊富で、現代人にとって理想的な食品といえます。ぜひ寒天を見直していただきたいと思います。