AKB48などをプロデュ-スしている秋元康さんが、NHK東北発元気塾という番組で4月に講師を務め独自のプロデュ-ス論を東北の若者に伝えました。

東北の地域性をだした特色あるお弁当をテ-マにしたときのことです。プロデュ-スのゴ-ルデンル-ル(黄金律)として言ったのが、この「記憶に残る幕の内弁当はない」という言葉です。幕の内弁当は、肉や魚、煮物、揚げ物、漬物などバランスよくいろいろな食材を少しずついれた贅沢なお弁当ですが、さて「今までに食べた幕の内弁当で一番おいしかったのは?」と聞かれるとなかなか思い浮かばないものです。

例えば仙台であれば「牛タン弁当」がいいと思いますが、「肉ばかりでは体によくないから魚も少し入れよう」「彩が地味だから赤い漬け物も添えよう」といろんな人の意見をまんべんなく取り入れていくと、どんどん特徴のない弁当になってしまうというのです。

秋元さん自身AKB48をつくるときに、自分は何を見たいか、自分は何が好きかを研ぎ澄まして、「人数が多すぎて誰が誰だか覚えられないんじゃないか」とか「人数が多いとギャラが頭割りで少なくなりすぎるんじゃないか」などのまわりの意見は全く聞かず、自分の感性を信じてどこにもないグル-プとしてプロデュ-スしたんだそうです。そうしたら、「こういうのを見たかった」「元気をもらえる」などの共感するファンがどんどん増えて大ヒットになったんだそうです。

食品業界でも、自分が何を食べたいか、どういうものが好きかをとことん考えて、原価がどうだとか、売価が高すぎて買わないかもとか考えず、自分の「思い」や「感性」を凝縮したものを一品だけでもつくることが、「あのお店の何々はすごいよ」とか「あのおやじ、何か違うね」という記憶に残る店づくりができるのではないか、ということでした。

いろいろなことに当てはまる大変参考になるお話しでした。